![]() 謹 啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。 さて、AsiaCORDは2000年11月にバンコクにてアジアの国々の臍帯血バンクがともにNetcord等海外の基準に準じた高品質の臍帯血を提供するために、相互連携と学術的理解を目的として設立されました。AsiaCORD設立以来、私どもは国内外で学術集会や臍帯血バンクの査察等を行い、アジアの国々の臍帯血バンクの品質向上に貢献して参りました。その目的の多くは果たされ、既にそれぞれの国の事情はありながらも確実に臍帯血を提供できるシステムが各国で出来あがって参りました。我が国においても、臍帯血バンクの品質への信頼と移植技術の向上により、非血縁者間臍帯血移植は既に累計8,500件以上、年間1,000件以上が実施されています。さらに、臍帯血は造血幹細胞のソースのみならず組織幹細胞ソースとしても注目され、代謝性疾患などでは骨髄移植よりも良好な成績を示し、臍帯血中の組織幹細胞の存在を示唆しています。 しかし、生着不全や再発の問題とともに、組織幹細胞の確固たる位置づけについては未だ解決されていません。 一方、臍帯も胎児由来組織であり、これまでの研究により間葉系幹細胞の宝庫であることも分かってきました。AsiaCORDの学術集会の一つである2001年第5回東京国際臍帯血移植シンポジウムにおいて「胎盤/臍帯と再生医学」というテーマでこの問題に取り組んで以降、昨年の北京でのAsiaCORD2011の学術集会においても「間葉系幹細胞の基礎と臨床」というテーマで臍帯由来の間葉系幹細胞に注目し多くの議論を交わしました。 この臍帯由来間葉系幹細胞はアジアが研究の先陣を担っております。さらに国内では2011年3月11日の東日本大震災におきましては、地震や津波の影響で原発事故による放射能汚染の問題、津波による廃棄物中の化学物質汚染等からも様々な環境変化の影響を考えさせられる状況となりました。 今回、私どもは2013年4月19日(金)〜20日(土)の2日間をかけて神戸ポートピアホテルにおいてAsiaCORD2013学術集会を開催する機会を得ました。本学術集会では、臍帯血と臍帯の間葉系幹細胞に関する基礎的・臨床的研究、白血病幹細胞を含めた幹細胞の研究、それらを支える品質管理を備えた臍帯血/臍帯セミパブリック細胞バンクの樹立とともに、間葉系幹細胞にエピジェネティックス変化をもたらす環境因子の影響について、アジアで活躍しているバンクの方々や研究者が集い、幅広く活発な議論を行い、広く医学の発展のために貢献していければと期待しております。 どうか本AsiaCORDの理念と意義、並びにこれまでの実績をご理解いただき、是非、神戸の地へご参集の程お願い申し上げます。 謹 言 平成24年9月吉日 AsiaCORD2013 (アジアコード2013) 学術集会 会長 浅野茂隆 早稲田大学理工学術院 先端システム医生物工学研究室 教授 NPO法人アジア医学融合科学研究戦略ネットワーク理事長 |